税理士事務所がホームページ制作で集客に成功させるためのポイント

税理士事務所を開業した方にとって、大きな悩みの種となるのは「集客」でしょう。さまざまな集客手段のなかでも、コストと効果を考えたときに最も効率的なのはホームページによる集客です。

しかしもちろん、ただホームページを作るだけでは集客効果は望めません。似たような業務を行っている税理士事務所でも、「集客のポイントをふまえたサイトを作れるか」によってはっきりと明暗が分かれます。

それでは具体的に、ホームページの集客で成功するケースと失敗するケースにはどのような違いがあるのでしょう。「税理士」という業種の特性も考慮しながら、ホームページ制作のポイントをご紹介します。

税理士のホームページ集客には明確なコンセプトが必要

いかなる業種・いかなる広告媒体においても、集客のためにはまず「明確なコンセプト」が不可欠です。ホームページ集客における多くの失敗が、「不明瞭なコンセプト」や「ズレたコンセプト」、あるいは「コンセプトをサイトに反映できていない」ことに由来しています。

「誰のためのどんなサービスか」ということを自分のなかで定義しなおし、それをサイトに反映していくことが、集客のための絶対条件です。

ホームページ制作において、コンセプトを打ち出すにあたり注意したいのが以下のポイントです。

  • どんな人に向けたサイトかを明確にする
  • 対象となるユーザーが検索するであろうキーワードを設定する
  • 対象となるユーザーにとって有益な情報を掲載する
  • 情報を見やすく整理する

まずはこの4点に沿って、集客の成功・失敗を分けるポイントを見ていきましょう。

対象となるユーザーを明確に

ホームページ上の集客において多くの方が陥る失敗は、「ターゲット層を広げすぎてしまう」ことです。

幅広い層に利用してほしいと思うのは当然ですが、依頼を考えている側からすれば、広すぎる取り扱い業務はかえって頼りなく映るものです。

たとえば「企業の会計処理から個人の相続税対策まで」といった記載を、相続税に悩む個人が実際見たとしても、「相続税にものすごく強いわけではないのか」と、決め手に欠ける印象となるでしょう。

自身の経験や特性、立地エリアの特徴などを勘案しながら、どの層にアピールするのが最も効率的かを具体的に考えてみましょう。

ターゲットに合わせたキーワード設定

ホームページに設定するキーワードは、「エリア名・駅名」「税理士」というワードのほか、「自身の専門分野」を設定することが必須となります。

さらに、「ターゲットがどの程度具体的な悩みを持っているのか」ということを考慮したうえで、キーワードを設定していきましょう。

たとえば「まだ税理士への依頼は考えていないが、相続税対策に悩んでいる」という個人の方であれば、「相続税」「割合」「計算」などのワードで検索するでしょう。

また、「すでに申告業務を税理士に代行してもらうと決めている」という企業であれば、「決算申告」「安く」など具体的なサービス内容に関わるワードで検索すると考えられます。

「キーワードを設定しているのにアクセス数が伸びない」という場合には、「自分の取り込みたい層が、どのような次元で悩みを持っているのか」を、今一度検討してみるとよいでしょう。

ユーザーにとって有益な情報を掲載する

先の項目とも関連しますが、税理士の顧客となる層は実にさまざまです。なるべく多くの層を取り込みたいという場合には、サイト上の情報量そのものを増やしていく必要があります。

ブログなどの更新機能を使い、「相続税の計算方法」「自分でできる確定申告」といったユーザーフレンドリーな内容を掲載しておくことで、サイトへのアクセスが増加し、それぞれのワードでの検索時の表示順位も上がることになります。

ユーザーの導線を考えて情報を整理する

「アクセス数はそれなりにあるのに、全く問い合わせが来ない」という場合、サイトの構成を見直してみる必要があります。ここでのポイントは、ホームページが「悩んでいる人が実際の依頼に至るまで」の思考回路に沿った構成となっているか、ということです。

もちろん最初にユーザーがチェックするのは「事務所の専門分野や強み」ですから、アピールポイントをサイトの冒頭部分に置く必要があります。また、「アクセス性」も重要な判断材料ですので、ページのヘッダーやフッターなどに住所や最寄り駅の情報を記載しておくとよいでしょう。

しかし気をつけなければならないのは、「プラスのアピールだけでは問い合わせにつながらない」ということです。依頼する側が「サービス内容に問題はなさそうだ」と判断したとしても、実際に行動を起こす前には「マイナス面も知っておきたい」という心理が働くものです。

税理士のホームページに欠けがちな「料金体系」「問い合わせから実際のサポートまでの流れ」「よくある質問」などついて、それぞれ案内するページを作成することで、依頼する側の不安は大きく軽減されます。料金や流れなどはケースにより異なることも多いですが、「目安としての情報がある」というだけでも安心感があるものです。

同業の税理士事務所との差別化を図る

集客においては「同業者との差別化」が常にポイントとなりますが、国家資格である税理士は、業務の内容そのもので他との差別化を図れない、という難しさがあります。

ここまで述べてきたように、コンセプトを明確化することで潜在的な顧客を呼び込むことはできても、実際の依頼につなげるためにはやはり、決定的な差別化のポイントを作っておきたいところです。

実質的な業務に差をつけられないとすれば、差別化のポイントとなるのは税理士自身の「キャラクター」です。

税務というドライなイメージのある業務を扱うからこそ、顧客にとっては「親しみやすさ」や「頼もしさ」といった印象が大きなアピールポイントとなるのです。では実際に、ホームページ上で自身の魅力をアピールするにはどのようなことが必要となるでしょうか。

フリー素材の画像の利用は避ける

よくある失敗例として、「ホームページの素材をすべてフリー素材でまかなっている」というパターンがあります。

「人の顔」というのは一瞬で、その人全体の印象を定着させるものです。フリー素材は「個性を消すことで汎用性を持たせる」ことを趣旨としていますから、当然、見る側にとっては無味無臭の印象が根付いてしまいます。これでは実質的に、「顔が見えない状態」と何も変わるところがありません。

顔の見えない相手には誰もが潜在的な恐怖感を抱きます。反対に、目立つ部分に自身の顔を掲載しておけば、そのサイトの言葉一つひとつがその人の言葉のように感じられ、人柄とサービスを総合的に印象付けることができます。

いかにも作った表情ではなく、自然な動きを感じられる写真が、見る側にとっての安心感につながります。費用はかかりますが、人物の撮影に特化したカメラマンに依頼することが望ましいでしょう。

具体的なサービスの場面をイメージさせる

業務内容を字面で表現したとしても、潜在的な顧客の安心感にはつながりません。

実際にどんなことをしているのか、「具体的な活動場面」を提示することで、見る側はイメージを膨らませることができます。事務所での相談風景はもちろん、セミナー開催時の風景など、実際に人と触れあっている場面を画像つきで紹介するとよいです。

さらに依頼者やセミナー参加者の感想をそこに添えておくことで、人柄についてのイメージが膨らみ、いっそう安心感につながります。

実績や経歴は欲張らずにピックアップ

税理士としての信頼感を高めるうえで、目に見える形で実績を示しておくことは非常に重要です。
ここで避けたいのは、業績をアピールしようとぎっしり情報を並べ立ててしまうパターン。情報があまりに密集していると、見る側の意識は離れてしまいます。

伝えたいポイントをスムーズに伝えるために、対象となる顧客層をイメージしながら、必要な情報だけを整理していきましょう。「この分野で、こういう業務をしてきたのなら大丈夫だろう」と一目でわかる情報量が理想です。

まとめ

この記事では、税理士のホームページ制作における集客のためのポイントをお伝えしてきました。総じて言えることは、「記載する情報を取捨選択する」ということです。

ホームページ上で「ゆっくりと情報を精査する」というユーザーは多くありません。短時間で、想定する顧客にとって重要な情報を伝えることができるよう、ユーザー目線のサイト制作を心がけましょう。